ご挨拶
当教室は1984年に田中康夫初代主任教授のもとに開設されました。教室としての歴史は浅く、2011年4月より私が第三代主任教授として教室の運営を行っておりますが、教室としての柱となるものをつくり上げ伝統を築いていきたいと考えております。初代主任教授の田中康夫先生とは名前が一文字違いであるために、親類関係にあるものとよく間違えられますが、全く血縁関係はありません。当教室は世襲制をひいているわけではなく、出身大学に関係なく和気あいあいとしたとてもいい雰囲気の教室です。
当院は2017年11月末より新棟の増設に伴い病床数は200床が増床され、当診療科の業務もより拡大しております。2021年には診療科名も耳鼻咽喉科から耳鼻咽喉・頭頸部外科に変更し、診療内容をよりイメージしやすいようにしました。将来的には年間1,000件を超える手術件数を予定しており、診療体制の拡充と地域連携の強化が重要と考えます。そのため近隣の開業医の先生方をはじめ、市中病院の先生方ともこれまで以上に連携を強めて、越谷市周辺を中心とした地域医療を充実させるべく診療を行ってまいります。また、地域医療も重要ですが、大学病院として高度な医療を提供し、埼玉県全域だけでなく全国からも患者さんが集まる耳鼻咽喉科、頭頸部外科としての役割も果たしたいと考えております。
私たちの医局は私が赴任した2011年の段階では総勢8名の医師で診療を行い、耳鼻咽喉科専門医は3名しかおりませんでした。しかし、年々医局員が増加するようになり、2024年には常勤医が14名、非常勤医が2名まで増え、耳鼻咽喉科専門医は12名が取得するまでになりました。来年度は今のところ3名の新しい医局員が増える予定であり、新旧バランスよくさらに医局を活性化していきたいと考えています。最新の設備が整った新しく清潔な環境のもと、若いスタッフたちが未来を切り拓いてゆく私たちの教室で、一緒に医療を行いませんか?私たちとともに教室をさらに発展させたいと考えている先生は大歓迎です。少しでも興味のある先生は遠慮せず、是非とも医局見学に来てください。
診療内容について
診療内容ですが、当教室では耳科領域、鼻科領域、頭頸部領域すべての手術を網羅し行っております。とくに耳科領域と鼻科領域では、他施設で開催される手術研修会にインストラクターとして招待される手術のエキスパートが、直接手術指導を行います。また、レジデントにも早期より扁桃腺の手術だけではなく、エキスパートの指導のもとに様々な手術を積極的に行わせております。
耳科領域では癒着性中耳炎や真珠腫性中耳炎に対する外耳道後壁保存型鼓室形成術を主として行い、最近では人工内耳植込み術の増加が顕著となっています。難聴患者の増加に伴い人工内耳植込み術の適応は緩和され、今後も一層手術件数は増加すると思われます。そして、鼻科領域では内視鏡下鼻内鼻副鼻腔手術を主体とし、最近では頭蓋底手術も積極的に行っています。また、頭頸部腫瘍に対しても顎下腺や耳下腺をはじめとする良性の唾液腺腫瘍から上顎がん、咽頭がん、喉頭がんなどの悪性腫瘍まで外科的に治療を行い、遊離皮弁を用いた再建手術も行っています。埼玉県は東京都に隣接しているものの、人口あたりの医師数は全国最低であり、とくに勤務医の数は極めて少ない状態です。そのため、極めて稀な症例を経験することも多く、手術症例には事欠きません。早い時期から実践的に役に立つ、耳鼻咽喉科医または頭頸部外科医としての臨床力を身につけたいと考えている若い先生には大変魅力的な教室だと思います。
耳鼻咽喉・頭頸部外科が素晴らしい科であることをみんなが体感できる教室を目指し、これからもスタッフ一丸となって努力していきたいと思います。
獨協医科大学埼玉医療センター
耳鼻咽喉・頭頸部外科
主任教授 田中 康広
沿革
1984年6月 | 獨協医科大学越谷病院を開院、耳鼻咽喉科を開設 初代教授 田中康夫先生が就任 |
1996年4月 | 2代目教授 渡辺建介先生が就任 |
2011年4月 | 3代目教授 田中康広先生が就任 |